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【News127】パク・チュングォン氏 唯一人の元脱北者国会議員誕生 政府与党「国民の力」比例代表 異色の人材 現代製鉄研究開発本部責任研究員、元北朝鮮国防大学化学工学科卒業

以下は韓国月刊誌『月刊ハナ111号(2024年5月号)』より転載したインタビュー

 

◆脱北民、統一の先鋒隊役割ができる

パク・チュングォン第22代国会議員当選者(国民の力比例代表)

※第22代国会議員選挙で太永浩(テ・ヨンホ)議員と池成浩(チ・ソンホ)議員の二人の脱北者出身国会議員が落選したため、22代国会議員の中で唯一の脱北者出身国会議員となる。4月10日に行われた第22代国会議員選挙でまた一人の脱北者出身の国会議員が誕生した。パク・チュングォン現代製鉄研究開発本部責任研究員がその主人公だ。北朝鮮国防大学化学工学科を卒業した経歴を持つ彼は、国内3万4千余脱北者のモデルとなり北朝鮮の人権改善と大韓民国の工学発展のため最善を尽くすと抱負を明らかにした。

Q.国会議員に当選しました。所感と議会活動の覚悟は何でしょうか?

 まず、政府与党の立場から国民の民心をきちんと読めなかった部分について深く反省しております。今回の選挙を通じて私に総体的な改革と刷新を命じられたと思います。これからは、痛い失策を栄養として勝利の方程式を作り出すことに私の全力を注ぐ覚悟です。併せて理工系出身の政治家新人として民心を正しく読める政治工学者、実務型国会議員になれるよう努力します。

 

 

Q咸鏡南道咸興出身で、北朝鮮の国防大学で化学工学を専攻されました。脱北者出身政治家として、これからしたいと思う政治はどんなものか気になります。

 平壌にある国防総合大学で学びました。北朝鮮の核武器、大陸間弾道ミサイルなどの戦略武器開発と研究をする場です。北朝鮮体制に深い疑いを感じて09年24歳のときに脱北し、中国を経て韓国に来ました。その後、ソウル大学材料工学科で碩士・博士課程を終えました。南北双方で工学徒の道を歩み、これから政治家として再生することになりました。政治家になることに時代的召命があったと思います。私は脱北住民であり、また工学徒の青年です。私はこの三つが大韓民国の未来と結びついていると思います。南北統合、統一は必ず成し遂げるべき宿命です。そして、科学技術は大韓民国の国家競争力を備えるための必須条件です。また、青年はそれ自体で我々の未来です。こうした意味から私は大韓民国の明るい未来のため、南北統合のため平和の橋を架け、工学の力を通じて大韓民国の未来を開き、青年が夢を育て得る社会にするように私の全能力を尽くす考えです。

 

 

◆北朝鮮住民の意識変化を誘導しなければならない

Q.15年間韓国で生活して大韓民国の潜在力や可能性も感じたでしょうが、同時に解決しなければならない問題点も発見なされたと思います。

 大韓民国の力は優秀な社会システムと高い国民の知性、そして愛国心だと思います。問題はこれに付いて行けない政治です。私が考える政治は、国民の生活をより良くして安全にすることです。併せて政治家と国民は、常に私たちが世界で唯一の分断国家という点を忘れてはならないと思います。そのため、国家安保をより堅固にすると同時に、いつ来るかもしれない統一に常に備えなければならないと思います。

 

 

Q.誰よりも北朝鮮人権改善に対する深いお考えをお持ちだと思います。国会議員として北朝鮮人権問題改善の為にどのような努力をなさるお考えですか。

 北朝鮮の人権問題を解くために何よりも重要なことは、北朝鮮住民の意識を変えることだと思います。したがって、私たちは北朝鮮住民の意識変化のため多様な努力をすべきでしょう。また、堅固な安保に基づき、北朝鮮政権と住民を分けて接近しなければなりません。

 年初、北朝鮮政権が大韓民国を同族でなく敵対国家と規定しました。しかしながら、我が大韓民国は同胞愛を持って北朝鮮住民たちを必ず心にとめ、住民たちの人間らしい生活のため努力しなければならないと思います。

 私は既に北朝鮮住民たちの意識が変化しているとみています。北朝鮮政権も体制を強制で維持する物理的方法しか無いと思います。こうした次元から、今後、脱北民が増加する状況にも備えなければならないでしょう。

 また、中国政府の反人権的な脱北民強制送還問題も必ず解決しなくてはなりません。国連では、いかなる不法移民者、滞留者であっても強制送還を禁止しています。我が政府と国際社会が中国の強制送還に対し持続的に問題提起し、外交的圧迫と説得を並行して進めなければならないと思います。

 最後に、19代国会で合意されたままで未だに進んでいない北朝鮮人権財団の即急な発足のために、必要なすべての措置をとるようにします。

 

Q.南北間対峙状況が続いています。我が政府が発足後に提案した「大胆な構想」を北朝鮮政権は断固拒否しており、統一と民族、同胞などを北朝鮮社会から消す作業を進めています。しかし、民族の宿願である統一を私たちまでは放棄できません。あなたが考える統一の道は何ですか。

 統一は私たち民族の宿願です。いつかは私たちの前に現れる道ならば、前もって徹底的に準備しなければなりません。私が考える最も理想的な統一は、北朝鮮体制が他の出口戦略を探して、正常な国家として軟着陸した後に行われるでしょう。しかし、こうしたことも結局は北朝鮮住民の意識が変わらなければできません。

 重要なことは南北双方に経済的、社会文化的衝撃が最も少ない方式の統一です。これが可能ならば、北朝鮮の住民たちが我々の自由民主主義体制を認識すると同時に生活の質が向上しなければなりません。

 私たちが北朝鮮住民たちを常に忘れず、住民たちの人権と生活の質向上のため、たとえ外からでも継続して努力していることを知らせなければなりません。ここに私たち脱北民の役割が必要でしょう。有事に脱北民たちが北朝鮮地域の即急な安全化と、その地域に自由民主主義を移植する役割ができるように準備させる必要があるでしょう。

 

◆青年が作って行く統一の道

Q.南北ハナ財団*はこれまで脱北民の安全な定着のため多くの努力を傾けてきました。

 脱北民がこの社会の堂々とした構成員として編入されたこと自体が統一のための投資だと思います。南北ハナ財団が今まで脱北民の安全な定着と権益向上のため多くの努力をなされてきたことをよく承知しております。脱北民の一人として、南北ハナ財団の今までの労苦に対して深く感謝しております。南北ハナ財団は、同時にいつ来るかもしれない統一を準備する機関でもあります。これから脱北民を代表する国会議員としてハナ財団の力になれるようあらゆる政策支援を惜しみません。

 

 

Q.国内3万4千余脱北民、そして南北の全ての青年に送るメッセージをお願いします。

 私たち青年は、来たる統一の主役になる世代だと思います。一つになった大韓民国は今よりも多くの機会が与えられる希望の国になるでしょう。

 私は政治人としてより良い機会創出と、来たる未来に備える役割を果たします。そして(脱北民)皆様も各自の場で、それなりの小さい統一を成し遂げながら、南北韓の住民たちは、わが民族は結局韓民族だという事実を忘れずに生きることを願います。そして、皆共に力を合わせて希望に満ちた大韓民国の統一を共に成し遂げましょうと言いたいです。

 3万4千余の私たち脱北民の皆さま、第22代国会議員として政治を始める私、パク・チュングォンが皆さまの明るい明日を応援します。ファイト!

 

*注 南北ハナ財団

 正式名称は「北韓離脱住民支援財団」脱北者の韓国社会定着を助けるため「北韓離脱住民の保護及び定着支援に関する法律」第30条の規定により2010年に設置された統一部傘下の公共機関

 

(翻訳:北朝鮮難民救援基金 川﨑孝雄)

 

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