SNSや英語・中国語を駆使…脱北した若者たちの「北朝鮮人権問題告発」が大きな話題に
過去の「涙の訴え」から今は緻密な論理と体系的な資料を提示国連安全保障理事会などでも関心が集まる
脱北者が北朝鮮の人権問題を告発する方法が変わりつつある。かつては涙で北朝鮮の人権問題の実情を暴露し、感情的に訴えるやり方が多かったが、今はそこから脱皮し、緻密な論理や体系的な資料を提示するなど、より効果的な方法で国際社会の理性に訴えているのだ。その中心には外国語の高い教育水準や国際的なネットワークなど「スペックの高さ」で武装したいわゆる「MZ世代(1980年代半ばー2010年ごろ生まれ)」の脱北者たちがいる。
脱北者のジョセフ・キムさん(33)はジョージ・W・ブッシュ・センターの研究員だ。キムさんは今月17日(現地時間)にニューヨークの国連本部で開催された国連安全保障理事会の非公式会合に出席し、流ちょうな英語を使って北朝鮮の実情を訴え、安保理理事国に行動を求めた。キムさんは北朝鮮にいた時は最下層民とされる「コッチェビ」(孤児となった浮浪児)だったが、2006年に脱北し、その後は米国に渡ってニューヨークのバード・カレッジで政治学を学んだ。脱北者のイ・ソヒョンさん(32)はこの会合で北朝鮮を擁護する中国の外交官に中国語で反論した。イさんは「中国語で中国の主張に反論すると、目を丸くして当惑する中国外交官たちの表情を読み取ることができた」「通訳なしに英語と中国語で話をすると、現場の反応も大きく違った」と述べた。北朝鮮政府高官だった父と共に2014年に脱北したイさんは中国に留学した経験があり、今は米コロンビア大学の修士課程に在学している。二人と接した国連駐在の黄浚局(ファン・ジュングク)韓国大使は「英語が流ちょうなので伝えたいことが確実に伝わり、分析や今後の展望まで全て話ができることから、インパクトが強かったようだ」とコメントした。
MZ世代らしくSNS(交流サイト)を積極的に活用し、北朝鮮の人権問題を幅広く訴える脱北者たちもいる。パク・ヨンミさん(30)が運営するユーチューブ・チャンネル「ボイス・オブ・ノース・コリア」は購読者数が100万人、視聴回数は累計で1億回を突破した。パクさん個人の経験や北朝鮮における人権問題の実情などを告発した映像が数百万回視聴され、米国のネットユーザーの間で関心を集めているのだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチのルイス・シャルボノ局長は米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の番組に出演し「北朝鮮の人権問題を早期に解決するためには、能力のある脱北者の活動が非常に重要だ」とコメントした。
キム・ウンジュン記者