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【News120】カンボジアからの便り 北朝鮮人プログラマーと人民軍兵士のかなわぬ夢 加藤 博

 カンボジアの第二の都市シアヌークビルは中国が一帯一路でカンボジアに設けた橋頭堡である。経済開発区、中継貿易港、埠頭の建設、一大海外リゾート地開発と開発の熱波が吹いている。100以上のカジノがあり、中国人と韓国人を相手にしたインターネットカジノ事業が多く展開する。

 

 ここに北朝鮮の金策工大コンピュータ学科出身者14人と、保衛部要員2人が中国賭博業者の会社に就職して働いている。

 中国とカンボジアの合弁人材派遣会社を通してやってくる中国人はもちろんのこと、北朝鮮人プログラマーの姿も目立つ。

 

 若い北朝鮮人プログラマー1人がカンボジア滞在3年になり、北朝鮮に帰国しなければならない状況になった。その人はカンボジアのゆったりした自由な社会の雰囲気が気に入り仕事も楽しんだ。一方で国際社会のニュースも聞き、自分が直接カンボジアで経験を重ねると北朝鮮体制への幻滅を感じるようになったという。次第に自由な生活を望むようになったところで、問題が発生する。

 

 シアヌークビルの韓国人教会から、日曜礼拝後の共同食事で残った韓国料理を北朝鮮人が持って行くようになり、韓国人教会の牧師と北朝鮮人たちが親しくなった。

 その北朝鮮人プログラマーが韓国人牧師に韓国に行きたいという話をしたので、牧師は駐カンボジア韓国大使館の領事にこの事実を伝え、韓国領事との電話も仲立ちした。

 

 ところが、韓国領事は北朝鮮人に「なぜ韓国に行こうとするのか?」「韓国に行ってよく適応できるのか?」「韓国に行っても良く暮らせるわけではない」と、否定的な話を繰り返したそうだ。それで牧師は私の同僚に白羽の矢を立て、北朝鮮人のカンボジア脱出とタイ経由で韓国行きが可能になるよう談合を重ねた。ところが脱出の条件を整えるために会えば会うほど北朝鮮人の安全圏への逃避行は難しくなる。本人の意思は、日曜礼拝後の食事と韓国人たちとの別れ難い関係を断ち切ってまで韓国に行く決断がつかなかった。北に戻る前に最後の自由の雰囲気を味わいたかったと思うしかない。

 

 同僚は、北朝鮮人たちの集まる現場を訪問して北朝鮮の人に会って相談し、救出しようとしたが、いろいろな理由で接触が次第に難しくなっていくのです。これ以上の接触は深刻な問題に発展することになると判断した同僚は、この案件から離れる決意を固めた。

 中国からカンボジアへの経済的進出は目覚ましいが、スラム街で必死に生計を立てるカンボジアの民衆を目にします。北朝鮮人の青年プログラマーの夢とは正反対に単身脱北し、プノンペンの市場で働くカンボジア人女性のパートナーとなってひたすら身を隠す元人民軍兵士もいる。

 

 21年に起きたミャンマーの軍事クデーターは、合法的な選挙で圧倒的な勝利を得て政権を担ったNLD(国民民主連盟)のアウンサンスーチー党首を含むメンバーを拘束、指名手配した。国民は軍事政権を批判し、不服従の抵抗を始めた。国軍は、無防備のデモ参加者を銃撃。メディア、医師、看護師、学生、僧侶などを次々に逮捕、拷問、追跡を始めた。後述の4人は、いずれも道路に出て国軍の非道を訴えたために警察の特別治安対策部隊、軍の治安部隊から指名手配を受け生命の危険が迫っている。

 

 北朝鮮難民救援基金は、深刻な人権侵害から逃れてくる脱北者を安全圏に誘導するために「地下鉄道」を準備し安全圏に誘導している。地下鉄道の終着駅は、安全圏の韓国、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア。

 今回ミャンマー回廊から、ミャンマーの少数民族出身を含む医師2人、看護師1人、ジャーナリスト1人の4人。警察・軍の追跡から隠れ住むのは限界にきているとミャンマーからの脱出を懇願してきている。

 

 当基金はこれまでミャンマーの少数民族グループの理解と支援を受けて地下鉄道の一つを維持している。これによって脱北難民の立場から普通の生活に戻れた人は二桁に上る。

 今度は当基金が、彼らの生命を救う側に回らなければならない。今、4人を救援するための旅費、食費、滞在費など200万円の資金が必要です。ぜひ皆様のお布施、献金をお願いいたします。

 

募金振込先:口座名 (特非)北朝鮮難民救援基金

・郵便振替口座番号: 00160-7-116613 

・ゆうちょ銀行 店番号 019 (当)0116613

・みずほ銀行本郷支店 (普)2489718

・三菱UFJ銀行本郷支店 (普)0111900

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