ウイグルジェノサイドに及び腰の日本政府
1月19日、アメリカのポンペオ前国務長官は、退任直前に、中国政府がウイグルで行っている政策を「ジェノサイド」と認定し、その理由として、2017年3月以降、100万人を超える人々が強制的に収容されていることや、女性に対する強制的な不妊手術などが行われていると指摘し、「人道に対する罪」にあたると述べた。
拘束された再教育センターに収容されたウイグル人
日本政府が独自にウイグル現地の情報を直接入手したとは考えにくい。おそらく日本在住のウイグル人たちが、故郷の家族に加えられている弾圧の実情を、日本当局もしくは支援団体に伝えたのだと推測される。実際、報道や漫画作品(清水ともみ・楊海英共著「命がけの証言」WAC出版)などでも明らかなように、いま日本に住むウイグル人のほとんどは故郷の家族と連絡が取れていない。また、突然家族から予告なしに連絡が入り、明らかに脅迫されている表情で、日本でウイグルの人権を訴えるなどの活動はやめるように告げてきた例もある。ボンペオ長官の発言は国際社会での収容所体験者の証言をベースにしたものだが、日本からの情報も多少は参考になったはずである。
人権外交を率先して展開する意思が必要
南モンゴル(内モンゴル自治区)における母語抹殺、日本モンゴル現代史に原因
南モンゴル(内モンゴル自治区)が、文化大革命時代にまさにジェノサイドが行われたこと、しかもその遠因には日本とモンゴルの現代史における関係に大きな原因があったことは、国民作家と言われた司馬遼太郎の「草原の記」にその一端が知らされ、現在ではモンゴル人学者楊海英氏の著作(『墓標なき草原』『チベットに舞う日本刀』等)によってその全体像が明らかにされつつある。かつて満州国時代、日本の軍事教育を受けたモンゴル人たちは「日本刀をつるした奴ら」と呼ばれ、文革時代には多くモンゴルの分離独立を目指す「内モンゴル人民党」とみなされて大弾圧を受けたのだ。
中国側の正式な発表でも、文化大革命時期には約3万人のモンゴル人が処刑されている。その他にも数十万人が逮捕され、獄中でひどい拷問を受け、障害者となったり、釈放されたのちも拷問の後遺症で亡くなった人も含めれば、さらに十万単位の犠牲者がいるという数字もある。これもまた、特定の民族を対象にした民族浄化政策で、中国側の資料もその残酷さを裏付けている(前記楊海英氏著作参照)モンゴル人はその伝統的な生活様式である遊牧も禁じられ、中国人の大量の流入により、既に南モンゴルの人口比率は、80%が漢民族となった。
環境破壊や砂漠化も進む 学校教育はモンゴル語から中国語へ
圧殺される香港の自由、今こそ必要な海外での運動展開
しかし、海外の運動家たちは、この弾圧に屈することなくSNS等で言論戦を繰り広げており、新しい香港アイデンティティが主張されている。特に若い世代は、香港の旧民主運動家とは違い、中国大陸からの分離独立を主張するグループすら現れている。イギリス政府が香港市民の亡命を受け入れる旨宣言したことで、今度は中国側は現在多くの海外の香港人が使用しているイギリス発行パスポートの使用を禁ずることを宣言している。ある講演会で訴えた香港の活動家は、自分たちはもうこのパスポートを失えば香港に変える意志はない、中国国籍のパスポートは使いたくもないと語っていた。これは新たな「政治難民」の出現であり、逆に香港の運動が国際化し新たな可能性を見いだしていくことにもなろう。
チベット、ウイグル、南モンゴル、中国民主化運動、香港民主化運動家メンバー
北京オリンピックボイコットの声明を発表
アジアの自由と民主主義のために