韓国統一部(省に相当)「国内に北朝鮮の資産はない」
200709 朝鮮日報日本語版
韓国軍の元捕虜らが北朝鮮の金正恩国務委員長を相手取った訴訟で勝訴したことを受け、北朝鮮の政治犯収容所にいた脱北民らも同様の訴訟を準備していることが8日までに分かった。脱北民らが金正恩氏と北朝鮮を相手取り、韓国国内の法廷で損害賠償を求める訴えを起こすのは今回が初めてだ。耀徳収容所にいた北朝鮮戦略センターの姜哲煥代表は「北朝鮮の強制収容所出身の脱北民らを中心に、損害賠償訴訟を準備している」と明らかにした。
同じく耀徳収容所にいた北朝鮮政治犯収容所被害者家族協会の鄭光日代表は「政治犯収容所では人間の尊厳を抹殺され、肉体的には奴隷のように酷使された」「(韓国)国内に約30人いる北朝鮮政治犯収容所出身者らと共に、金正恩と北朝鮮を相手取り、精神的・肉体的被害に対する損害賠償訴訟を起こす」と明言した。
拉致被害者とその複数の支援団体は、6・25(朝鮮戦争)韓国軍元捕虜らが金正恩氏と北朝鮮を訴えた損害賠償訴訟で勝訴したとのニュースに接し、非常に意欲が高まった表情を見せた。「韓半島の人権と統一のための弁護士の集まり」(韓弁)のキム・テフン代表は8日「北朝鮮の拉致被害者は韓国国民だけでなく、米国や日本など外国人も多い」「『被告・金正恩』を相手取った訴訟が今後も相次ぐだろう」と予想した。韓国軍捕虜訴訟を支援した社団法人「ムルマンチョ」(朴宣英理事長)の関係者は「現在も生存している韓国軍捕虜23人のうち、2人が昨日勝訴し、残り21人も訴訟を起こすか検討中だ」と伝えた。今回の韓国軍捕虜訴訟の弁護人団が賠償金として確保を目指す韓国国内にある北朝鮮の財産は、韓国の放送局や出版社などが北朝鮮の映像や著作物を使用し、北朝鮮に支払った著作権料20億ウォン(約1億8000万円)だ。南北経済文化協力財団(経文協)が北朝鮮に代わって徴収したもので、現在は裁判所に供託されている。
経文協はこの日、本紙の電話インタビューで「ニュースを通じて(裁判の)結果を知った状況」として、特別な立場は明らかにしなかった。韓国国内に北朝鮮の資産が存在するかどうかについて、韓国統一部(省に相当)の呂尚基報道官は「政府が把握したところでは、国内に北朝鮮の資産はない」と説明した。開城の南北共同連絡事務所を爆破した北朝鮮当局に損害賠償を請求すべきとの主張について、呂報道官は「実効性のある方策を多角度から検討中」として即答を避けた。
キム・ミョンソン記者