北朝鮮の政策決定の中身を赤裸々に描いた『三階書記室の暗号』の著者で元駐英北朝鮮公使の太永浩氏を招いた講演会は80名の定員をこえる盛況の中で開かれ、大きな刺激と感動を残しました。
特に日本で最大の関心を持たれている日本人拉致の人権問題をどのように解決するかは、北朝鮮の考え方をよく理解した上で、かつての首相級の人を特使に立て交渉をする道がある、との示唆に富む提案がありました。
講演録と質疑応答はこちらをご覧ください
初来日を可能にしたのは、韓国で発売3週間で10万部をこえるベストセラーとなった著書の日本語版(写真)が文藝春秋社から発売されのが大きなきっかけになりました。
日本語版の刊行を記念した講演会にぜひ著者を呼びたいとの声を集め、その中で北朝鮮の難民と人権に関する国際議員連盟の協賛を受けて講演会は開かれました。
議員連盟の共同議長の中川正春衆議院議員のメッセージを紹介します。
こんにちは。
「IPCNKR:北朝鮮の難民と人権に関する国際議員連盟」共同代表・衆議院議員の中川正春です。この国際議員連盟は日本、韓国、モンゴル、アメリカ、カナダ、イギリス、ルーマニアなど世界62カ国の国会議員が、北朝鮮の深刻な人権侵害によって、拉致被害者や脱北難民となった人々に寄り添い、救援のために北朝鮮をはじめ世界各国にメッセージを発し続けております。
駐英北朝鮮大使館はヨーロッパ戦略の中心的な立場にあり、太永浩氏は2016年に韓国に亡命するまで、外交官として北朝鮮の政策立案の過程を詳しく知る立場にあり、韓国に亡命後は、韓国政府の対北朝鮮政策に対する諮問委員も務める重要人物です。
南北融和を目指す文在寅政権が誕生した後も、民主的な北朝鮮をめざし、三代世襲の金一族の統治に批判的な立場を貫き、世界にメッセージを発し続けています。
その結果、北朝鮮から「人間のクズ」「民族反逆者」とののしられ、韓国政府からは国家安保戦略問題研究所からその職を解かれる運命をたどりました。
それでも太永浩氏は信念を貫き、北朝鮮の民主化を求め、独裁政治の終止符を求めています。私は彼の勇気と信念に敬意を表します。
変化する北朝鮮の現状、ハノイでの2回目の米朝会談の合意無き非核化交渉の今後、北朝鮮は、どのような展開となるのか示唆に富んだ見識に接するのは得難い経験となるでしょう。
また、私たちは朝鮮半島の非核化や深刻な人権侵害とどのように向きあうべきなのか、また、拉致問題の解決に至る筋道はどのようなものか、を考える絶好の機会になるでしょう。
あらためて、人権と民主主義の北東アジアとは何であるのかを考えましょう。
この会が有意義な会となり、ご盛会となることを祈念いたします。
2019年6月20日
IPCNKR 北朝鮮の難民と人権に関する国際議員連盟 共同代表
衆議院議員 中川正春
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