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【News108】国家試験に合格しましたーさやか奨学金が後押し

夜間中学、高校、医療系専門学校で5年の努力 金ミギョン

 

命がけの脱北逃避行

私は6年前に北朝鮮を出て日本に来ました。北朝鮮を出る時は親の故郷、私の家族がいる日本に行きたい一念で、命がけの脱北逃避行でした。 基金のみなさんの助けで日本に無事に着いた時は喜びと幸せで胸がいっぱいでした。しかし日本社会を知れば知るほど、あんまりにも無力な自分にがっかりしました。日本は独裁政権の北朝鮮で教育を受けた私にとって夢の世界でした。言葉はもちろん政治、経済、文化、すべてが初めてのことでした。

 

北朝鮮の学歴は認められない

北朝鮮での学歴は認めてもらえず、私は夜間中学校から通い始めました。昼間はアルバイト、そして夜は学校で勉強、この生活は高校や専門学校まで5年間続きました。学校の先生とボランティア活動をしている方々から日本語を教えてもらう日々の中で、私は社会に貢献できる人になりたいと思いました。そして高卒認定試験に合格し、医療系専門学校に入学しました。 1年生の時は先生の話も聞き取れず、教科書の内容も理解できずに苦労しました。難しい医学用語を韓国語辞書で調べてから日本語で覚える、、、の連続です。他の学生の倍の時間がかかりました。テストの時はアルバイトを減らしてテストの勉強をしなければいけませんでした。

 

アルバイトをすると勉強時間が足りない

アルバイトする時間が短くなると学費と生活費は足りなくなる一方でしたが、基金の「さやか奨学金」をいただき勉強に集中することができました。医療現場での実習や国家試験の勉強は本当に大変です。特に患者さんとのコミュニケーションは、まだ日本語がうまくできない私には一番の難問でした。同級生と家族との会話を増やし、本をたくさん読むようにしました。医療用語を一般表現に変え、患者さんに理解しやすい説明ができるように努力しました。国家試験の時は勉強する時間が足らず、通学電車の中でいつも試験勉強をしました。そして歯科衛生士国家試験に合格し、国家資格を取りました。卒業式では学業優秀により表彰状を貰いました。

 

感謝の気持ち忘れず頑張ります

私が3年間の学校生活を無事に卒業し、国家試験に合格できたのはいつも力になってくださった基金の皆様と「さやか奨学金」を送ってくださった皆様のおかげです。みなさまの温かい支援があったからこそ、今の私がいると思います。私はいつもこの感謝の気持ちを忘れずにこれから医療現場でもっと頑張りたいと思います。 編集部注:筆者の金ミギョンは、ペンネームです。北朝鮮は脱北者を民族反逆者とみなし厳罰を科し、最低7年以上の労働教化刑、死刑及び全財産没収と定めています。処罰は連座制で一族に累が及びます。筆者には北朝鮮に親族が残っていますので、記事の内容にも配慮しています。

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