同時代的な体験の広報を通じて、北朝鮮の人権改善を訴える
渡 高志
第25回 ワン・ワールド・フェスティバル(OWF)が大阪北区で開かれた2月3~4日は、比較的穏やかな天候に恵まれたこともあって、約2万5千人が来場しました。
しかし来場者の流れが、民族料理を提供する「みんなのキッチン」が立ち並んだ扇町公園、ステージで民族ダンスやミュージック演奏が披露された関西テレビ扇町スクエアから、当基金がブース出展し、他のNPOのワークショップや講演会も行われた北区民センターへの導線がうまくつながりにくかったのか、初日は少し寂しいような感じがしました。

すでに大学生や高校生は、1990年代後半から北朝鮮で出現した数百万の脱北者、数百万の餓死者を発生させた大飢饉の現実を同時代的に共有していません。ソビエト連邦の崩壊が引き金になったとはいえ、あの状況は北朝鮮の政治体制の非人道性、人権侵害が最も象徴的に現れた出来事であったと思います。
当基金のブース展示の目的は、現在も続く脱北者支援とそこから発展的に広がった北朝鮮の人権侵害を改善する活動を紹介し、協働を求めることです。そのために大飢饉の事実と人権侵害の実情を広報することに努めました。
その一環として、クイズ「北朝鮮基礎知識入門篇」、「北朝鮮人権問題クイズ2018」を主に50人超の若い来訪者たちに挑戦していただきました。
展示物や説明を聞いて感じたことは?
来訪者へのアンケートでは素直で、率直な意見が多く集まりました。
「色々なことを教えて頂けて良かった。たくさんの辛い思いをして生きている人達が自由な生活が出来る日が早く来たら良いなと思いました」
「北朝鮮の人権問題に関して理解が深まった」「北朝鮮難民のことを考える機会となりました」
「日本に生まれて良かったとひしひしと感じました。その国だからこそ、やるべきことが山ほどあると痛感しました」
「大切なのは平和と人権。そのためには権力者のウソにノーと言える力をつけること、無関心ではいられないという気持ちになれることが大切」
「世界から隔離されている北朝鮮の情報をよくここまで集められたなあと感心しました。医療キットを脱北者に渡して、北朝鮮に持ち帰ってもらったという発想は思い浮かばなかった」など。
人権改善策で寄せられた貴重な意見
北朝鮮の人権問題改善に向けて、どんなアクションが効果的だろうかとの問いには
「実際(北朝鮮の人権状況)を知ること」
「政治レベルでの圧力、民間レベルでの対話(宥和)」、「国交を結ぶこと」
「自国から他の国へ移れるように、たくさんの資金を集める」などの貴重な意見が、多数寄せられました。感謝です!