2017年6月20日AFP電によると、北朝鮮当局に昨年身柄を拘束され、今月に釈放された米国人学生オットー・ワームビア氏について、19日、故郷である米オハイオ州シンシナティの病院で家族に見守られながら死去した事を伝えました。
私たちは、同氏のご冥福を心からお祈りするとともに、深い悲しみに包まれているご家族と米国民に哀悼の意を捧げます。家族は声明の中で「息子は北朝鮮が加えたむごい虐待で死亡した」と主張しています。
そして「今日、悲しいことに息子のオットー・ワームビアが我が家への旅を完全に終えた。私たちの息子が北朝鮮の手によって受けた拷問のよう なむごい虐待がこうした結果を生んだ」と悲しみの中に悲憤と抗議の意思を表明しています。
北朝鮮における人権状況を調査する国連人権委員会(COI)は 2014年2月、最終報告書を公表し、その中で北朝鮮が「深刻で、広範囲で、組織的に」行っ ている人権侵害は、「人道に対する罪」と非難しています。
今回、同氏が脳に損傷を受け昏睡状態で釈放された後に死去した事実は、北朝鮮が今なお「人道に対する罪」を犯していることを如実に示すものです。そ れはまた、自国民の人権も侵害し続けていることに他なりません。
私たちは、北朝鮮がオット-・ワ-ムビア氏に加えた死に至るほどの人権侵 害に強く抗議します。また北朝鮮の「人道に対する罪」の一日も早い改善のた めに国際社会が連携を密にして行動することを渇望しています。また、北朝鮮の人権侵害行為はさらなる悲劇と憤怒を呼び起こすかもしれない事実があるのです。
6月6日の自由アジア放送(RFA)がカナダに戻ったジェームス・李氏とのインタビューを伝えています。将軍出身という北朝鮮人の招請で北朝鮮を訪問したカナダ人で一時アメリカの政府機関で働き、軍事関連会社に勤務したことのあるジェームス・李氏は「ト ランプ大統領の指示を受けて金正恩委員長を暗殺するか、軍事機密を得るため に北朝鮮に来たスパイ」という嫌疑で拘束された。その時 4
月に抑留されたアメリカ国籍で平壌科学技術大学の金サンドク教授は李氏に「カナダ人を含む多数の外国人が留置場に収監されていた。留置場に 20~30 人の収監者がいたが、 誰も彼らが誰なのかよくわからない」と話しています。まだ抑留が続いている金サンドク教授をはじめ外国人収監者の運命が気がかりです。
あわせて、北朝鮮に囚われている拉致被害者・日本人妻をはじめとする世界各国の人々が、同氏と同じような人権侵害を受ける可能性について強い危機感 を抱きます。その理由として、北朝鮮がワームビア氏について、ボツリヌス中 毒症にかかり、睡眠薬を服用した後に昏睡状態に陥ったと説明していますが、 米国医療チームは、これを否定しています。
北朝鮮当局にとって不都合な人間、不都合な事実については誰でも、いつでもこのような嘘の説明をされることが、今回の事件でより鮮明となったと思わ
れるからです。国際社会の声に一切耳を貸さず、人権侵害、核・ミサイル開発にまい進する指導者は、私たちの平和や安全にとって危険で有害な存在です。北朝鮮は自国民にとって有徳な指導者を選ぶ時が来ています。それができなければ国が滅ぶかもしれない危機にあると北朝鮮国民に訴えたいのです。